タンクメイトとしてもおなじみのオトシンクルス。水槽のガラスに貼り付いているところを見たことある!という人も多いはず。でも「人工の餌を食べない」とか「餓死しやすい」とか聞くと、不安になる人もいるかもしれません。そこで、ウチの本水槽で一年暮らしてもらって分かったことをお話しします。
オトシンクルスってどんな魚?

まずはオトシンクルスが「どんな魚なのか」について簡単にご説明していきます。
オトシンクルスの基本情報
オトシンクルスは南米原産の小型ナマズの仲間です。「並オトシン」とも呼ばれ、大きさは3cm~5cmくらいで、平均寿命は3年ほどといわれていますが、大事に飼えば5年以上も生きると言われています。性格はおとなしく、吸盤のような口でガラス面や水草についたコケを食べてくれるため「水槽のお掃除屋さん」として、他の魚と一緒に飼うことが多いようです。適した水温は20~28℃ですが、高温は苦手なので夏場の水温管理には注意が必要になります。基本的に夜行性なので、昼間は流木や植物の影でじっとしていることが多い魚です。
・ナマズの仲間で体長3~5cm
・コケを食べてくれるお掃除屋さんで意外と食いしん坊
・高温は苦手
・夜行性(昼間はあまり活動しない)
オトシンクルスの入手方法
オトシンクルスはアクアリウムショップ以外でも、通販やホームセンターなどでも売られています。大体1匹300~500円前後で、ほとんどがワイルド種(野生の魚を輸入したもの)です。よく似た魚にオトシンネグロがいますが、こちらは主にブリード種(養殖)で、値段はオトシンクルスよりも高いことが多いようです。
オトシンクルスは背中が黒っぽく、脇に黒いラインが入っていてお腹が白いのが特徴です。ただ模様が異なるものもいるため、オトシンネグロと間違えて売られている場合があります。オトシンネグロは全体が茶色っぽく、お腹も白くありません。
オトシンクルスとオトシンネグロはそもそも分類上の属が異なります。オトシンクルスはオトシンクルス属、オトシンネグロはヒソノトゥス属です。
オトシンクルスは現在約20種類の有効な種が確認されていますが、①見た目がとても似ている、②現地でまとめて捕獲されてまとめて輸入されている、という理由でいくつかの種が混ざって売られているのが現状です。
一般にオトシンクルス(並オトシン)と呼ばれているのは「オトシンクルス・ヴィッタートゥス」ですが、「オトシンクルス・マクロスピルス」「オトシンクルス・ヴェスティトゥス」なども混じっています。種が異なると繁殖しないので、オトシンクルスは売られている個体がほとんどワイルド種なんでしょうね。
家庭の水槽でも繁殖は難しいようです。ちなみにオトシンネグロはオトシンクルスより見た目が分かりやすいのもあり、繁殖は比較的簡単だそうです。
| 分類 | オトシンクルス | オトシンネグロ |
|---|---|---|
| 目 | ナマズ目 | ナマズ目 |
| 科 | ロリカリア科 | ロリカリア科 |
| 亜科 | ヒポプトポマ亜科 | ヒポプトポマ亜科 |
| 属 | オトシンクルス属 | ヒソノトゥス属 |
| 種 | 20種類 | 34種類 |
オトシンクルスを飼ってみて

実際に一年飼育して、気が付いたことって意外とたくさんありました。一般的なお話と、我が家の場合の両方を比較しながらご紹介していきます。
オトシンクルスの餌
オトシンクルスはコケ(特に茶ゴケ)を好み、人工の餌付けが難しいと言われています。そして水槽に茶ゴケが発生しやすいのは以下のような時です。
- 水槽の立ち上げ時
- 水槽の栄養分が多すぎる時
- 水質が悪化している時
つまり、水が出来上がっていて、手入れが行き届いている水槽には茶ゴケが発生しにくいため、「水槽にたくさんのオトシンクルスを入れてしまうと餓死しやすい」状況になります。
そこで人口の餌が必要になります。オトシンクルスの餌として良く使われるのは「プレコの餌」や「コリドラスの餌」です。オトシンクルスは水槽の底で過ごすことがほとんどなので、沈下性(すぐに沈む)のタブレットが良く使われています。
ただ、餌を置いただけだとオトシンクルスはそれを餌だと認識してくれないのですぐには食べてくれません。そこでいくつかの方法で餌だと分かってもらう必要があります。
- 夜行性なので、消灯後にエサを与える
- いつも同じ場所に餌を置いて「餌場」だと認識させる
- 小さな水槽などを使用して、餌だと認識させる
オトシンクルスだけを飼っている場合は①②でOKですが、混泳させるのであれば③がおすすめです。
③の場合は水槽でなくても3~5ℓくらいお水が入ればプラケースでもOK。水槽に買ってきたコリドラスを水ごと入れて、エアレーションをつけ、必要であればヒーターを入れます。温度に気をつけながら少しずつ実際に飼う水槽の水を入れていき、餌を入れて放置します。水草などは不要です。水槽は動かさないようにしてくださいね。
そのうち、お腹が減るとオトシンクルスが餌をツンツンとつつくようになります。これは餌だと認識した証拠なので一日くらい経ったら飼育水槽に移動させれば終わりです。
餌に興味を示さない場合は、他のメーカーの餌を試してみて下さい。それ以外にも茹でたホウレンソウやキュウリ、レタスなども食べます。小さくても好みがあるのでいろいろあげてみてはいかがでしょうか。
我が家の場合
ウチの本水槽は、ラスボラ ヘテロモルファ・ラスボラ エスペイ・チェリーシュリンプとオトシンクルス(1匹だけ)が同居しています。ベアタンクですが、大きな流木2本にアヌビアスが生い茂っています。コリドラスの餌を入れるとエビが群がるばかりで食べているのか、いないのか…。朝になると粉々なので結局よく分からずに1ヶ月ほど観察して、特にやせこけたりしていないのでコリドラスの餌を入れるのは止めてしまいました。
で、1年後どうなったかというと、オトシンクルスは元気にしています。ラスボラのためにそれなりに水流があり、ラスボラの食べ損ねたエサが落ちて集まる場所があるのですが、そこに居ることも多いのでそれを食べているのかもしれません。調べてみると意外と何でも食べるようなので、それで大丈夫だったようです。ちなみにラスボラたちには朝晩で一日2回餌をあげています。
ご紹介した餌にも「雑食魚用」と書いてありました。ちなみに我が家では、魚もエビもこれを食べてます。
正直、餌の量や頻度は不明です。ただ、エサが落ちて集まる場所(餌場)にはいつも餌があるので、食べたい時に餌があれば大丈夫なのかな~と思ったりはしています。
オトシンクルスの水槽レイアウト
オトシンクルスはとってもおとなしい魚です。でも水槽に慣れるまでは警戒心が強く( ビビりともいう)、混泳の場合は物陰に隠れて出てきてくれません…。なので、流木や水草、岩などを組み合わせて隠れる場所を作ってあげてください。また、オトシンクルスは水槽の底で生活しているので、水槽全体に水が回るように注意しましょう。流木や水草の間から水が流れるように隙間を作ってあげると、隠れ家にもなるので一石二鳥です。
オトシンクルスが好きな水質は弱酸性~中性です。ソイル・流木などは水質を弱酸性に傾けるのでおすすめ。岩は種類によってはアルカリ性が強くなることもあるので良く調べて取り入れてくださいね。
ソイルを使って水草を育てる水草水槽は見た目も楽しいですよ。水草は弱酸性を好むものが多いですし、オトシンクルスが苔取りもしてくれるので、こちらも一石二鳥です。
水槽内の水を回すには、それなりにエアレーションや水の流れを強くする必要があるかもしれません。水槽があまり大きくないのであれば底面フィルターを使う方法もあります。
我が家の場合
ウチの本水槽はベアタンク、つまりソイルも何も入っていません。ただし、岩は左隅の木化石のみで、あとは流木と水草です。水草は「アヌビアスナナ・プチ」「アヌビアス・キリン」「ブセファランドラ」に南米ウィローモスのみ。光がそれほど強くないので陰性水草ばかりですね。モスは以前はプレートにテグスで固定していましたが、プレートの下にプラナリアらしきもの(5mmくらいの長さの白い生き物)が湧きやすくなるので撤去し、現在はリングタイプのセラミック製のろ過材に数本を差し込んで育てています。

ウチのオトシン君は、多分本水槽に入ってから3ヶ月くらいはずっと流木2の下に貼り付いていていました。水換えをする時は流木などは全部外に出して洗うのですが、その際はものすごい速さで隅っこに移動。流木が戻ると気が付いたらまた同じ場所にいる、という感じ。流木の上に居るのを見つけたときは思わず写真を撮ったほど(それが最初の写真です)。最近では慣れて、夜に水中を泳ぐ姿も見られるようになりました。
以前は会社勤めをしていたため、昼間は直射日光が当たらないように段ボールで「ひさし」を作り、3時ごろにライトが点灯するようにしていました。家に帰ると水槽だけが明るくなっていて、それを観るのが楽しみだったんですよね。現在は自宅で仕事をしていますが、点灯時間は同じで、ライトがつくと「休憩時間」、消えると「そろそろ寝よう」という合図になっています。
オトシンクルスと相性のいい魚や生物
オトシンクルスはおとなしい魚なので同サイズ(体長が1~5cmくらい)の魚やエビと混泳することができます。メダカやミナミヌマエビ(チェリーシュリンプなども含む)とも混泳は可能です。
ただ、メダカは食欲が旺盛で、先ほど紹介した「おとひめ」のような餌は沈む前に全部食べられてしまうことが多いため、沈下性の餌をきちんと与えるようにしてください。エビも水槽の下に棲む生物なので、十分な餌を与えるようにしてくださいね。また、メダカやエビは水温が低くても生きられますが、オトシンクルスと混泳する際はヒーターを使って温度が下がりすぎないように注意しましょう。
相性が悪いのは①オトシンクルスよりも大きい魚や生物、②弱アルカリ性の水質を好む魚、です。
大きい魚はオトシンクルスを簡単に飲み込んでしまいますが、実はオトシンクルスはヒレなどが硬く、飲み込んだ魚の喉などに引っかかってケガをさせてしまう恐れがあります。
②はグッピー・プラティ(6~7cm)・モーリー(5~6cm)などが挙げられます。弱アルカリ性を好む魚は水質が中性から弱酸性に傾くと体調を壊すので、オトシンクルスとは混泳は難しいでしょう。
我が家の場合
先ほどご紹介したように、ウチはラスボラ2種類とチェリーシュリンプと一緒に暮らしています。ラスボラはもともと弱酸性~中性の水質を好み、弱酸性になるほど色が鮮やかになります。また、水槽の真ん中あたりから上を泳いでいることが多いので、生息場所が異なるため相性はとてもいいです(落ちたエサを下まで取りに来ることもあまりない)。
ラスボラは鯉の仲間で、比較的水の流れがある場所でもOKです。むしろ、流れの早い場所に突っ込んでいって楽しんでいることも。鯉はサケほど勢いよく川を上りませんが、流れに逆らって泳ぐ強い本能があるそうなので、ラスボラにもそんな性質があるのかもしれません。ベアタンクで障害物もなく、全体的に水が流れているので止水域はほぼないように見えます。
チェリーシュリンプはそこそこいますが、お互いに知らんぷり状態。本水槽にはメスのシュリンプが全くおらず、抱卵の可能性もないため、特に問題なく暮らしています。
オトシンクルスの繁殖

私自身はオトシンクルスを一匹しか飼っていないので繁殖に挑戦したことはもちろんありませんが、基本的になぜ難しいのかは調べてみました。
オトシンクルスのオスとメス
オトシンクルスのオスとメスの見分けは、ある程度大きくならないと難しいようです。オトシンクルスは生まれてから成魚になるまで半年から1年かかり、このくらいにならないと違いが全く分からないからです。
オトシンクルスはメスの方が大きく、上の写真のようにお腹側から見て丸いのがメス、スッとしているのがオスです。メスは成魚になるとお腹のあたりに黄色や黄緑色の卵を抱えます。お腹の皮がとても薄いので外からはっきり見えるので、とても分かりやすいですね。
つまり、そのくらいにならないと違いが分からないので、雌雄を見極めて購入したい場合はある程度大きくなった個体をお迎えすることになります。
オトシンクルスが抱卵したら
メスが抱卵すると、産卵場所をきれいにするようになります。産卵場所は葉っぱやガラス面が多いので、面の広い水草などを植えてあげましょう。そして、その時にオスがいればメスを追いかけまわすような行動(追尾行動)を始めます。卵が完全に成熟すると、オスとメスは体をピッタリ合わせてオスがメスの卵に精子をかけます。その後、メスは産卵場所に卵を丁寧に貼り付けていきます。
産んだばかりの卵は「透明に近い白」か「淡いクリーム色」で、段々と黄色みを帯びたり茶色くなって、卵の中に黒い点々(これが赤ちゃんの目です)が見えるようになります。ここまでくるとふ化が近い状態です。
もし、卵が白くなったり白カビが生えたりしたら、それは無精卵なのですぐに取り出してあげてください。
抱卵してもオスがいなかった場合は、卵はメスの体に吸収されるか、抱卵したメスが☆になってしまうようです。オスがいても相性が悪かったり、スイッチが入らなかったりしても産卵しません。
この産卵スイッチがどうやったら入るのかよく分かっていないことが、オトシンクルスの繁殖の難しいところだそうです。水温が変わる、水質が変わる、といったことが挙げられていますが、実際には不明です。
生まれてからも大変!
稚魚の餌といえばブラインシュリンプですが、オトシンクルスの稚魚は生まれてすぐにブラインシュリンプを食べることはできません。食べるものはインフゾリア(微生物)や柔らかい苔などがメインになります。
ブラインシュリンプが食べられるようになるのは体長が1cmくらいになってから…。10日から2週間後です。
我が家の場合
ウチのオトシンクルスは元気ですが、一年経ってもスリムなままです。多分男の子なんでしょう。一見地味な見た目ですが、ちょこちょこ動く姿はとても可愛いです。時々、水槽の真ん中くらいの高さまで泳ぐ姿を見かけるようになりました。
ただ、残念なことに水槽のガラスに貼り付いているところ(壁の方)をほとんど見たことがないです。それなりに苔がついてても、です。夜中に食べているのか、それとも底面で十分なのか、単に登りたくないのか…。
ぜひ皆さんもオトシンクルスを飼ってみてはいかがでしょうか?



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